スイス在住者がFXを始める方法や税金ルール、おすすめ会社を解説

スイスは、チューリッヒやジュネーブなどの重要な国内金融都市があり、金融取引や保険分野で世界を先導している金融国です。

金融情報が豊富で、最新の経済動向やマーケット展望などを集めやすいといった特徴があります。

また、国内の金融ライセンス「FINMA」は権威性の高いライセンスとして世界でも評価されており、一定の信頼性と安全性が担保されています。

この記事では、スイス居住者がFX取引を始める方法や税金・メリット・デメリットについて詳しく解説していきます。

スイスでFXを始める方法

スイスでFXを始めるには、スイス居住者向けにサービスを提供しているFX業者で口座開設を行います。

すでにFX口座を開設している場合でも、スイスはサービス対象外地域の可能性があるので、一度確認しておきましょう。

1つのサービスで世界各国をカバーしている業者もあれば、XMのようにサービスを提供する地域によって「XMTrading」や「XMglobal」というように運営会社が異なるケースがあります。

スイス向けにサービスを提供しているかは、公式サイトまたはアカウント登録時の居住国リストから確認可能です。

スイスでFX取引を行った際に発生する税金

スイス居住者がFX取引を行った際に発生する税金を紹介します。

スイスは国・州・市町村のそれぞれで所得税が課せられるため、居住地域によって税率が大きく異なります。

連邦税

スイスではFX取引で得た利益に対して、連邦税がかかります。

累進課税方式を採用しており、所得額によって0.1〜11.5％の税率が課されます。

配偶者・子供の有無によって課税所得額・税率が細かく分かれているため、詳しい内容はスイス連邦税務局（Federal Tax Administration）を参考にしてください。

カントン（州）税

カントン税は州に収める税金で、それぞれの地域によって税率が大きく異なります。

例として、ジュネーブのカントン税を紹介します。

課税所得額	税率
～18,480CHF （約315万円）	8％
18,481～22,265CHF （約315～380万円）	9％
22,266～24,492CHF （約380～419万円）	10％
24,493～26,718CHF （約419～457万円）	11％
26,719～28,944CHF （約457～495万円）	12％
28,945～34,510CHF （約495～590万円）	13％
34,511～38,963CHF （約590～663万円）	14％
38,964～43,417CHF （約663～742万円）	14.5％
43,418～47,869CHF （約742～818万円）	15％
47,870～76,812CHF （約818～1,310万円）	15.5％
76,813～125,794CHF （約1,310～2,150万円）	16％
125,795～169,209CHF （約2,150～2,894万円）	16.5％
169,210～191,474CHF （約2,894～3,275万円）	17％
191,475～273,851CHF （約3,275～4,682万円）	17.5％
273,852～291,662CHF （約4,682～4,987万円）	18％
291,663～410,776CHF （約4,987～1.1億円）	18.5％
410,777CHF～ （約1.1億円～）	19％

ジュネーブのカントン税は累進課税方式が採用されており、8～19％の17段階に細かく区分されています。

スイスは物価水準が世界トップクラスということもあり、所得額が1.1億円を超えると最大税率の19％が課せられます。

州ごとに課税所得額や計算式・配偶者の有無によって税率や控除額が異なるので、詳細は居住地域の担当税務局へ問い合わせるのがおすすめです。

ゲマインデ（市町村）税

スイスでは、ゲイマンテ税として居住地域の自治体にも税金を納める必要があります。

カントン税と同様に地域によって税率が異なっており、地方自治体によって最大30％程度が課せられます。

税率が高い分、一般的な控除対象項目に加え、住居の修繕や維持費・子女の教育費も控除対象となるのが特徴です。

日本との違い

スイスと日本でFX取引を行った際にかかる税金の違いをまとめたのが下記の表です。

国名	税金
スイス	約50％ （連邦税+カントン税+ゲイマンデ税）
日本	10～55％ （所得税+住民税）

スイスは連邦・州・市町村のそれぞれに所得税を納めるため、日本と比べると税制が複雑になっています。

実際に課税される税率は居住地域によって大きく異なるので、実際に居住してみないと詳しい課税額は分かりません。

また、上記は単身者に対する税率で配偶者・子どもの有無によって特別税率があるので、詳細は現地の税務局への問い合わせてみるのがおすすめです。

スイスでFX取引を行うメリット

スイスではFX取引で得た利益に対して、キャピタルゲイン税がかかりません。

また、国内のFX業者はFINMA（スイス連邦金融市場監督機構）の規制管理下にあるため、安全性の高い環境でトレード可能です。

それぞれ順番に解説していきます。

キャピタルゲイン税がかからない

スイスでFX取引を行うメリットとして、キャピタルゲイン税がかからない点があります。

同じ欧州のイギリスやドイツでは、所得税とは別にキャピタルゲイン税として10〜25％が課税されます。

国名	キャピタルゲイン税
スイス	なし
イギリス	10～20％
ドイツ	25％

また、日本では所得税に住民税の10％が金額に関係なく一律で加算されるため、単純なFX取引にかかる税金で考えるとスイスでFX取引を行うメリットは十分にあります。

景気の影響を受けにくい

スイスは永世中立国という立場であり、ユーロ圏以外の政治・経済情勢の変化による影響を受けにくいのが特徴です。

低金利・インフレ率が低さから、米ドルや日本円と並び有事の際の安全通貨として、リスクヘッジ目的に選択されやすい傾向にあります。

また、スイス国立銀行（SNB）による金融政策決定会合が年に4回と世界で最も少ないこともあり、値動きが安定しやすいのも特徴の1つです。

国名	会合の名称	政策金利
スイス （CHF：スイスフラン）	政策金利発表 （SNB）	4回/年
日本 （JPY：日本円）	金融政策決定会合 （MPM）	8回/年
アメリカ （USD：米ドル）	連邦公開市場委員会 （FOMC）	8回/年
欧州 （EUR：ユーロ）	政策理事会 （ECB）	1回/6週間
イギリス （GBP：ポンド）	金融政策委員会 （MPC）	8回/年

FINMAの規制管理下で取引可能

スイスでFX取引を取引を行うメリットの1つに、FINMA（スイス連邦金融市場監督機構）の規制管理下で取引できる点があります。

最大レバレッジが100倍に制限されるものの、資産の分別管理やゼロカットシステム導入の義務化など、顧客の資金を最大限に保護する環境が整えられています。

また、預金者保護基金（Esisuisse）への加入を義務付けており、万が一破綻した場合でも最大10万スイスフラン（約1,700万円）まで補償されます。

ライセンス取得後も定期監査や財務報告書の提出が必要になるなど、常に健全な運営が求められることから、世界的にも権威性の高い金融ライセンスとして評価されています。

その他の金融ライセンスに関する詳しい内容は「海外FXの金融ライセンスとは？」で解説しているので、参考にしてください。

スイスでFX取引を行うデメリット

スイス国立銀行（SNB）は過去に数回の大規模な為替介入を実施しており、スイスフランショックとして多くのトレーダーが強制ロスカットを迫られた事例も発生しているので、日頃から徹底した資金管理を行っておきましょう。

それぞれ順番に解説していきます。

為替介入のリスクがある

スイスでFX取引を行う際に注意しておきたいのが、スイス国立銀行（SNB）による為替介入です。

2011年には欧州債務危機の影響でスイスフランが安全通貨として買われすぎたことから、ユーロスイス（EUR/CHF）を1.20に固定するように無制限介入を行っていました。

しかし、2015年1月15日に1ユーロ＝1.20フランの為替レート上限を撤廃することを発表したことから、20分ほどで2,000pips以上急落しました。

その他のスイスフラン銘柄も約2,000～3,000pipsの急落・急騰しており、多くのトレーダーが強制ロスカットされる事態になりました。

また、一部のトレーダーは強制ロスカットが間に合わず破産した事例も発生しており、世界的な大事件として歴史に刻まれています。

スイスショックのように短時間で数千pipsも変動するケースはほとんどありませんが、いつ起こるかは誰にも予測できないので、ロット調整や複数口座での運用など常にリスクヘッジを行うようにしましょう。

基本的に海外FX業者であれば、ゼロカットシステムが採用されているので、スイスショックのように歴史的な価格変動が発生しても借金を背負う心配はありません。

現地ブローカーがほとんどない

スイスはFINMAの規制内容が他のライセンスに比べ厳しいことから、国内に拠点を置いているFX業者はほとんどありません。

そのため、現時点では国内ブローカーではなく、XM Globalなどの海外FX業者での口座開設がおすすめです。

中でもXMGlobalは、スイスフラン建ての口座に対応している数少ないFX業者で、現地通貨を獲得できる貴重な存在です。

生活コストが高い

スイスでFX取引を行う際には、生活コストが高い点にも注意しておく必要があります。

イギリス経済誌「The Economist（エコノミスト）」の2024年7月に発表されたビッグマック指数によるとスイスは8.07ドル（1,214円）で世界1位となっています。

順位	国名	価格 （USD）	価格 （日本円）
1	スイス	8.07	1,214
2	ウルグアイ	7.07	1,064
3	ノルウェー	6.77	1,018
4	アルゼンチン	6.55	985
5	ユーロ圏	6.06	912
7	アメリカ	5.69	856
44	日本	3.19	480

※2024年7月時点のデータであり、ドル円の為替レートは2024年7月時点の1ドル=150.46円（The Economist）で計算

日本に比べると約2.5倍の価格となっており、スイスの物価の高さが分かります。

物価高に比例して労働賃金も高くなっており、1日7時間の月20日労働で約60万円の収入があります。

食費以外にも家賃や光熱費も日本よりも遥かに高いので、注意しておきましょう。

項目	ジュネーブ	日本
家賃	1800CHF （約310,000円）	55,000円
光熱費	1200CHF （約210,000円）	12,000円
食費	1000CHF （約173,000円）	36,000円

ビッグマック指数（The big mac index：BMI）は、各国・地域におけるビッグマックの平均価格を比較することで、為替レートや物価水準、購買力といった経済状況の比較や把握をしやすくするための指数

引用元：The Economist（エコノミスト）より

スイス居住者におすすめのFX業者

スイス居住者におすすめのFX業者を2つ紹介します。

項目	XM Global	HFM
口座開設ボーナス	あり	あり
入金ボーナス	あり	あり
最大レバレッジ	1,000倍	2,000倍
ゼロカット	あり	あり
最低入金額	5ドル	なし
ロスカット水準	20％	20％
取扱銘柄	外国為替 暗号資産CFD 貴金属CFD エネルギーCFD 株価指数CFD 株式CFD コモディティ 特定テーマ指数	外国為替 貴金属CFD 暗号通貨CFD エネルギーCFD 株式CFD 株価指数CFD ソフトコモディティ 債券 ETF
プラットフォーム	MT4（MetaTrader4） MT5（MetaTrader5）	MT4（MetaTrader4） MT5（MetaTrader5）
基軸通貨	12種類	5種類 （CHF：非対応）
リンク	口座を開設する	口座を開設する

スイスの金融ライセンス（FINMA）を取得しているFX業者がほとんどなく、取引に関する規制が厳しいため、海外FX業者を中心に選定しています。

XM Global

スイス居住者におすすめのFX業者は、XM Global（エックスエムグローバル）です。

日本でも人気の「XMTrading」を運営しているXMグループの1つで、豪華なボーナスとキャッシュバックプログラムを実施しており、多くのトレーダーから人気を集めています。

ボーナスキャンペーン	ボーナス内容
口座開設ボーナス	13,000円相当
入金ボーナス	50％入金ボーナス（上限額：500ドル） 20％入金ボーナス（上限額：4500ドル）
XMPプログラム	1ロット取引毎に最大20XMPを獲得

口座開設ボーナスを常時開催しており、新規口座開設を行うと「13,000円相当」のボーナスクレジットを受け取れます。

ボーナス自体は出金できませんが、クッション機能付きのクレジットなので、1円も入金することなくトレードを始められます。

また、初回限定の100％入金ボーナスや常時開催の20％入金ボーナス・XMPなど様々なプロモーションも常時開催されています。

FINMA（スイス連邦金融市場監督機構）の金融ライセンスは取得していませんが、ベリーズ国際金融サービス委員会（FSC）のライセンスを保有しており、一定の信頼性と安全性が保証されています。

日本語には対応していないものの、翻訳サービスを利用することで、初心者でも気軽に口座を開設可能です。

リスクゼロで取引を開始できる口座開設ボーナスを提供しているので、まずはXMglobalで口座開設を行ってみるのがおすすめです。

関連記事：「XMGlobalの口座開設方法をわかりやすく解説」

HFM

HFM（HF Markets）は、スイス居住者でも入金無しでトレード可能な口座開設ボーナスを受け取れる貴重なFX業者です。

公式サイト経由での口座開設では受け取れませんが、海外FXタイムズとのタイアップ企画により、当サイト経由で新規口座開設を行うと「3,000円相当」のボーナスを受け取れます。

ボーナスキャンペーン	ボーナス内容
口座開設ボーナス	3,000円相当 （当サイト経由限定：先着400名）
入金ボーナス	20％入金ボーナス（上限額：750,000円相当）

常時開催ではなく、先着400名限定のキャンペーンとなっているので、まだ口座開設を行っていない方はぜひ利用してみてください。

ボーナスキャンペーン以外にも最大レバレッジ2,000倍や最低入金額0円など、業界でもトップクラスのトレード環境を提供しています。

特にスイスフラン銘柄の取り扱いが豊富で、メジャーなユーロや日本円クロス以外にもポンドやカナダドル・NZドルなど8種類をトレード可能です。

銘柄	HFM	XM Global
USDCHF 米ドル/スイスフラン	0.6pips	1.8pips
EURCHF ユーロ/スイスフラン	0.7pips	1.8pips
CHFJPY スイスフラン/日本円	0.7pips	–
AUDCHF 豪ドル/スイスフラン	1.3pips	–
CADCHF カナダドル/スイスフラン	0.7pips	–
CHFSGD スイスフラン/シンガポールドル	1.3pips	–
GBPCHF 英ポンド/スイスフラン	0.7pips	–
NZDCHF NZドル/スイスフラン	1.3pips	–

ただし、フラン建て口座には対応していないため、両替しやすい米ドル（USD）や仮想通貨建てでの口座開設がおすすめです。

「HFMの評判・口コミ」では、実際にHFMを利用しているトレーダーの評判や口コミを紹介しているので、口座開設の参考にしてください。

スイスでのFX取引に関するよくある質問

スイスでのFX取引に関するよくある質問を紹介します。

スイスでFX取引を行った際に必要な税金を教えて下さい。

スイスでFX取引を行った際にかかる税金は下記の通りです。

• 連邦税
• カントン（州）税
• ゲイマンデ（市町村）税

それぞれの税率は地域によって異なるので、詳細は現地の税務局や専門家への問合せてみるのがおすすめです。

スイスの税金が高い理由を教えて下さい。

スイスは教育や医療・交通機関など、高品質な公共サービスを提供していることから税金が高くなっています。

スイスではキャピタルゲイン税がかかりますか？

いいえ、スイスにはキャピタルゲイン税制度が存在しないため、かかりません。

スイス居住者が日本国内のFX業者を利用することはできますか？

いいえ、スイス居住者は基本的に日本国内のFX業者を利用することはできません。

また、すでに口座を保有している場合でも口座解約を行う必要があります。

転勤等により国外へ移住する場合、口座を閉鎖しなくてはならないのですか？
居住地国が「日本国のみ」で無くなった場合には、口座を閉鎖していただく必要がございます。

当社のお取引口座を開設いただけるのは、居住地国が「日本国のみ」であることを必須とさせていただいており、当該条件を満たさなくなった場合には、口座を閉鎖していただく必要がございます。

引用元：外為どっとコム＞よくある質問＞「転勤等により国外へ移住する場合、口座を閉鎖しなくてはならないのですか？」より一部抜粋

スイスでFXを始める方法を教えて下さい。

スイスでFX取引を始めるには、スイス向けにサービスを提供しているFX業者で口座開設を行います。

アカウント登録・本人確認書類を提出することで、トレードを開始できます。

詳細は「スイスでFXを始める方法」で紹介しているので、参考にしてください。

スイスでFX口座を開設する際に必要な書類を教えて下さい。

スイスでFX口座を開設する際に必要な書類は下記の通りです。

• 身分証明書（運転免許証・パスポート・IDカード等）
• 現住所確認書類（公共料金の請求書・銀行の利用明細書等）

FX業者によってファイル形式や書類の有効期限が異なるので、注意しておきましょう。