海外在住におけるFXでの資産形成は、節税効果を高める点でも有効です。円安やインフレ対策にもなり、興味を持つ日本人が多くなっています。
この記事では、海外在住者が利用できるFX業者と口座開設手順、さらに税金についても解説します。
初心者は1円も入金することなく始められるXM Global、中上級者にはスプレッドなどの取引条件が業界トップクラスで優れているExnessをおすすめします。
海外在住でFXの利益を節税し、現地通貨を稼いで国際分散投資にチャレンジしてみてください。
海外在住者が移住先でFXを始めるメリット
海外在住者が移住先でFXを始めるメリットを紹介します。
税金および円安・インフレ対策になることに注目してください。
非課税または税金が低くなる可能性が高い
海外に移住することで、FXにおいて非課税または税率が低くなる可能性が高いことは大きなメリットです。
一般的に、自国に強い産業を持たない国では、経済発展のために金融サービスを推進し、その一環で投資家に有利な税制が設けられることがあります。
例えば、カリブ海の島国での税優遇は有名ですが、日本からアクセスしやすい国や都市にも、FXの利益が非課税になる場所があります。
金融ハブであるシンガポールや香港は非課税ですが、外貨獲得に力を入れるマレーシアやドバイもFXの利益に対して税金がかかりません。また、タイではオフショア法人を設立することで無税にでき、フィリピンでは外国籍の居住者の国外源泉所得が非課税となっています。
一方で、日本ではFXの利益に対して最大約55%(所得税と住民税の合計)の税金が課せられます。海外の税制の違いを理解して活用することで、将来の資産形成のスピードを加速させることができるでしょう。
現地通貨を稼ぎながら国際分散投資ができる
海外に移住してFXを行うことは、現地通貨を稼ぎながら国際分散投資ができるというメリットがあります。円安のリスクを分散し、日本や移住先の経済動向に応じた柔軟な投資が可能になります。
例えば、現地通貨で得た利益を移住先の通貨や資産に再投資することで、日本に依存するリスクを避け、より広い視野で資産運用ができます。また、異なる国の金融市場を利用することで、高利回りの投資機会を見つけやすくなり、経済的な安定性の向上も期待できます。
このように、海外でFXを行うことは単に収益を上げるだけでなく、資産の国際分散を通じて安全性を高める戦略的な選択にもなるのです。
円安によるインフレ対策ができる
海外在住中にFXを始めることで、円安不況やインフレ悪化への対策が可能です。円安が進むと日本円の資産価値は低下しますが、外貨で収益を上げることでその影響を緩和できます。
OECDによると、2024年の世界経済の成長率は3.1%、日本は0.5%にとどまります。一方、新興国の例として、ADBの予測ではフィリピンが6.0%と見込まれています。
上記から日本経済の停滞が見て取れ、その影響は通貨ペアのチャートにも表れています。例えばPHPJPYの週足チャートでは、2021年3月から2024年5月までにフィリピンペソは日本円に対して約23%価値が上昇しています。
フィリピンペソと日本円の関係から見られる円安傾向は、先に紹介したキャピタルゲインが非課税となる国の通貨ペアチャートでも同様です。
海外在住中にFXを行うことは、円安リスクを避け、より安定した投資環境を確保する効果的な手段となります。
節税しながらノマドライフを実現できる
海外在住者が移住先でFXを始めることには、節税しながらノマドライフを実現できるメリットがあります。
例えば、シンガポール・香港・マレーシアなどの国々では、FXの利益が非課税になるため、これらの国・都市に移住し、FXで稼ぎながら海外投資をすることで資産効率を大幅に向上させることができます。
このような節税効果は、場所に縛られずに働きたいノマドワーカーにとって理想的です。海外での生活をフルに楽しみながら効率的に資産を増やせるため、経済的自由を追求する上で大きな助けとなります。
海外在住者が移住先でFXを始めるデメリット
海外在住者が移住先でFXを始めるデメリットを紹介します。
日本の法律が適用されない
海外在住者が居住国でFXを行う際、日本の法律は適用されません。日本国内では金融庁の規制下で、投資家保護のための厳格なルールがあります。
例えば、最大レバレッジ25倍・自己資本規制比率120%以上・信託保全制度などにより、投資家の資金は適切に保護されています。
しかし、移住先の業者を利用する場合には現地の法律が適用されるため、日本居住時と同様の保護が受けられず、以下のような問題が生じる可能性があります。
- 金融規制の不備:100倍を超えるハイレバレッジの利用で資金を失うリスクが高まる
- 詐欺業者の存在:規制当局の監督が不十分な国や地域では詐欺業者に当たるリスクが高い
- 資金保護の不透明性:信託保全制度が不十分だと業者の破綻で資金が戻らないリスクがある
よって、海外在住者が移住先でFXを始める場合、日本の法律が適用されないリスクを十分に理解し、信頼性の高い海外FX業者を選ぶことが重要です。
居住国の税制への対応が必要になる
海外在住者にとって、FXに関する納税がデメリットになることもあります。一般的に、居住国の所得に対する税金はその国で納税することが原則です。想定される課題を4つ取り上げます。
- 各国の税制の違い:国ごとに税制や控除制度が異なるため、税務処理を調べ直す必要がある
- 二重課税のリスク:日本と居住国で同じ所得に対して二重に課税されるリスクがある
- 税務申告の複雑さ:現地の税法や手続きに不慣れな場合、専門家の助けが必要になる
- 追徴課税のリスク:申告漏れや誤った申告によって罰金や加算税が課されるリスクがある
以上のように、居住国の税制への対応は、海外在住者が移住先でFXを始める際の重要な課題です。トラブルを回避するために、現地の税制を十分に理解し、必要に応じて専門家の助けを借りるようにしましょう。
取引プラットフォームの使い勝手が悪い
多くの現地業者の取引プラットフォームは、現地語や英語のみで提供されることが一般的です。そのため、現地語や英語に不慣れなトレーダーにとって、取引操作やサポートの利用が難しくなるでしょう。
さらに、MT4/MT5やTradingViewのような世界的に普及している取引プラットフォームが提供されていないこともあります。現地業者が独自のプラットフォームを提供している場合、その使い勝手に慣れるまで時間がかかることが予想されます。
取引に関する質問やトラブル対応がスムーズに進まない可能性を考慮すると、海外在住者が現地業者でFXを始める際には、言語や取引プラットフォームの使い勝手を事前に確認することが重要です。
国内FX品質のサポートを受けられない
海外在住者がFXを始める際、日本のFX業者のような高品質なサポートを受けられないというデメリットがあります。日本では充実したサポート体制を整え、電話やチャット、メールで迅速に対応してくれます。一方、移住先でのFXでは、サポート品質や対応スピードが日本と異なることが多いでしょう。
移住先の国が日本の金融庁のような厳しい規制を行っていない場合、結果的に業者ごとのサポート品質にばらつきが生じる懸念があります。トラブル時の対応が不十分で、出金に時間がかかる、問い合わせに対して曖昧な回答しか得られないといった問題が起こることが多くなるかもしれません。
ここまで紹介した4つのデメリットを解消するには、安全性の高い海外FX業者を選ぶことが重要です。ただし、個人で調査するのは非常に難しいため、世界中のトレーダーに信頼されているXM GlobalのようなFX業者を選ぶのが一般的です。
海外在住者による日本のFX業者の利用状況
海外の移住先でFXをする場合、日本のFX業者を利用できるかどうかがよく調べられます。FXを検討する海外在住者が押さえておくべき内容を確認しましょう。
日本の大手証券会社で口座開設できない
海外の移住先でFXを始める際の注意点は、多くの日本のFX業者が海外在住者にサービスを提供していないことです。例えば、大手業者のSBI FXトレードでは、海外からの口座開設を受け付けておらず、海外移住する方には口座解約を案内しています。
【質問】海外在住ですが口座開設はできますか?
【回答】日本国内に現住所をお持ちでないお客さまは口座を開設することができません。法人のお客さまも同様に本店、もしくは支店が日本国内で登記されている法人が対象となります。
引用:SBI FXトレード
【質問】海外へ転勤・移住することになった場合、口座はそのままでいいですか?
【回答】海外勤務や海外留学、その他の理由で海外に居住することになり、「非居住者」となる場合は、お取引を継続することはできません。
引用:SBI FXトレード
お客さまが保有する建玉をすべて決済し、ご資金を全額出金された後、口座解約フォームより、解約依頼の手続きをお願いいたします。
また、当社サービスは国内向けとなっておりますので、海外からのお取引はご遠慮いただいております。
これらの対応は、GMOクリック証券やDMM.com証券といった大手も同様です。海外へと移住した場合、日本の業者ではなく、国際的な業者や現地の業者を利用する必要があります。
その際、業者の安全性・取引条件・手数料・サポート体制などを慎重に検討し、使用できる言語や通貨まで確認しましょう。
口座開設に対応する日本のFX業者
海外在住者の口座開設に対応するFX業者として、ヒロセ通商とJFXが知られています。これらを利用することで、日本語によるメールサポートを受けられるというメリットがあります。
ただし、口座開設の手続きや入金手続きに手間がかかり、日本の法律による投資家保護が適用されない点を考慮すると、あえて移住先からこの2社を利用する必要性は低いと言えます。
口座開設の際には、「本人確認書類」として以下から2つを提出し、さらに「税務上の居住地国の特定 兼 特定取引を行う者の届出」を提出する必要があります。
パスポート(顔写真付き)、現地発行の運転免許証、現地発行の滞在許可証 等、滞在国の日本領事館発行の在留証明書
また、入金の際には振込手数料に加えて両替手数料などが発生し、手続き完了までに日数もかかります。その他、クレジットカードを使用できない点にも留意してください。
このような手続きの煩雑さや高いコストを避けるため、一般的にXM GlobalやExnessなど、オンライン取引プラットフォームで国際展開しているFX業者が利用されています。
海外赴任後の日本のFX業者の利用について
海外赴任後、駐在国から日本のFX業者を利用するには一定の制約があります。多くの日本のFX業者は日本国内の居住者を対象にサービスを提供しており、規制やライセンスの関係上、海外在住者へのサービス提供が制限される場合があります。
特に、海外に1年以上の長期赴任となり現地の居住者として登録されると、日本の住民票が除票されます。これにより、日本国内での口座開設や取引が困難になることがあります。
このような状況を踏まえ、海外赴任中にFXを続けたい場合は、国際的にオンライン取引プラットフォームを提供しているFX業者を利用することをおすすめします。現地語が堪能であれば、駐在国に拠点を持つFX業者を利用するのも良いでしょう。
海外旅行中における日本のFX業者の利用について
海外旅行中に日本のFX業者を利用して利益を得た場合、日本居住者である限り、その利益に対して日本で確定申告を行う必要があります。
日本の税法では、居住者は全世界で発生した所得について日本での申告と納税が義務付けられています。このため、短期の海外旅行中でも、海外で得たFXの利益は日本の所得として扱われます。
確定申告を通じて、所得税と住民税の計算が行われ、適切な税金が納付されます。よって、海外旅行中の取引であっても利益があれば、その年の確定申告を忘れずに行いましょう。
海外在住者におすすめのFX業者
取引条件 | XM Global | Exness |
---|---|---|
取扱商品 | 通貨ペア・仮想通貨・貴金属・エネルギー・株価指数・株式・コモディティ・特定テーマ指数 | 通貨ペア・仮想通貨・貴金属・エネルギー・株価指数・株式 |
最大レバレッジ | 1,000倍 | 無制限 |
ゼロカット | あり | あり |
ボーナス | あり | なし |
初回最低入金額 | 5ドル | 150ドル |
対応通貨 | 11種類 | 44種類 |
日本語対応 | 対応なし | 対応あり |
対象者 | 初心者~ | 中級者~ |
海外在住者におすすめのFX業者は、XM Global(エックスエムグローバル)とExness(エクスネス)です。
日本のFX業者では法律上禁止されているハイレバレッジやゼロカットを提供しており、リスク管理の柔軟性を持ちながら、取引の戦略を広げることができます。
続いて、XM GlobalとExnessの違いを紹介します。それぞれの特徴を理解した上で、最適な業者を選びましょう。
XM Globalの特徴と初心者に人気の理由
海外在住のFX初心者には、まずXM Global(エックスエムグローバル)をおすすめします。
その理由は、XMグループが持つ国際的FX業者としての特徴にあります。
- 2009年の設立以来190カ国以上から1,000 万人を超える顧客
- 金融業界で長年の経験を持つ900名を超える専門家による運営
- 世界各国で複数の金融ライセンスを取得して経営の知見を共有
日本人に対しては、XMグループのXMTradingがサービスを提供しており、日本人ユーザー数No.1であることがその信頼性を証明しています。
FXが非課税になる国や地域の海外在住者には、主にXMグループのXM Globalがサービスを提供しています。
2種類のボーナスでトレードの証拠金を増やせることから、特に海外FX初心者に人気です。
種類 | 金額 |
---|---|
口座開設ボーナス | 30ドル |
入金ボーナス | 最大10,500ドル |
XM Globalでは、口座開設するだけで30ドルのボーナスがもらえるため、自己資金を1円も入金せずに海外FXに挑戦できます。
また、入金した資金に対して最大100%のボーナスが付与されます。これは、入金額と同額のボーナスがもらえて、資金の2倍の元手でトレードができるという意味です。
レバレッジは、最大1,000倍まで利用できます。これにより、証拠金に余裕を持たせることでロスカットされにくくなります。
さらに、ゼロカットシステムにより入金額を超える損失が発生することがなく、日本のFX業者のように追加証拠金を要求される心配がありません。
海外在住中にFXを始めるなら、まずはボーナスを活用できるXM Globalがおすすめです。
Exnessの特徴と中級者以上に選ばれる理由
海外在住でFXの経験が豊富な方には、Exness(エクスネス)をおすすめしています。
月間の取引量が世界トップクラスであり、中上級トレーダーから高い評価を受ける国際的なFX業者です。
- 世界最難関FCAラインセンス保有をはじめ法令遵守のグループ経営
- 無制限レバレッジや固定式ゼロスプレッドを提供する高度な取引環境
- 月間ユーザー80万人超で月間取引量約4兆ドルの大規模プラットフォーム
Exnessは2008年に設立され、XMグループと共に海外FX業界をリードする存在です。月間ユーザー数は80万人を超え、毎月約4兆ドルの取引が行われる大規模なプラットフォームを運営しています。
イギリスFCAやキプロスCySECの金融ライセンスを保有し、設立から16年が経過した今も、安全かつ安心な経営基盤を守りながら国際的にサービスを提供しています。
Exnessが中上級トレーダーから選ばれる理由の一つに、優れた取引条件があります。特に注目すべき3つのポイントを紹介します。
取引メリット | 取引条件 |
---|---|
業界最低水準の取引コスト | 変動スプレッドと取引手数料を合計したコストが最安水準となる |
固定スプレッドとゼロスプレッド | ・主要な10銘柄が、1日の90%の時間帯で固定スプレッド(全口座タイプ) ・主要通貨ペア28銘柄において取引時間の95%でゼロスプレッド(ゼロ口座限定) |
資金効率を最大化 | ・無制限レバレッジをロスカット水準0%で利用できる ・ゼロカットにより追証が発生せずリスクを取りやすい |
Exnessはサービスの実用性に重点を置いており、特に低い取引コストとスキャルピングに有利な固定式スプレッドが特長です。これらが中上級トレーダーから高く評価される理由の一つです。
一方、XM Globalのように口座開設ボーナスはもらえないため、海外FXが初めての方には利用のハードルが少し高いかもしれません。
しかし、月間ユーザー数が80万人を超え、毎月約4兆ドルの取引量を誇るExnessは、その実績で信頼性を示しています。また、日本語サポートも提供されているため、海外在住者でも安心してFXを開始できます。
\レバレッジ無制限×超低スプレッド!/
海外在住者がFX口座を開設する方法
移住先でFX口座を開設する方法を説明します。
XM Global FX口座開設の手順
リアル口座の開設に必要なメールアドレスとパスワードを入力し、「Register」をクリックします。
項目 | 内容 |
---|---|
①Country of Residence | 居住国を選択 |
②Email | Eメールを入力 |
③Password | パスワードを入力 |
登録したメールアドレス宛てにXMからメールが届くので、「Verify Email」をクリックします。
続いて、メール宛にプロフィール登録の案内が届くので、「Verify Profile」をクリックします。
プロフィールの登録に必要な個人情報を入力して、「Continue」をクリックします。
項目 | 内容 |
---|---|
①First Name | 名前を入力 |
②Middle Name (Optional) | ミドルネームを入力(任意) |
③Last Name | 名字を入力 |
④Date of birth | 生年月日を入力 |
⑤Phone Number | 電話番号を入力 |
居住国での住所情報を入力して、「Add Financial Details」をクリックします。
項目 | 内容 |
---|---|
①Country of Residence | 居住国を選択 |
②Address | 住所を入力 |
③City / Town | 市区町村を入力 |
④House number | 住居番号を入力 |
⑤Postal Code | 郵便番号を入力 |
投資家情報を登録するため、以下の質問に回答します。
「外国為替取引に関する教育を受けたことがありますか?または、外国為替取引や差金決済取引(CFDs)などのデリバティブ商品で少なくとも15回取引した経験がありますか?」
いずれかの条件を満たしている場合は「Yes」、どちらも満たしていない場合は「No」を選択し、「Continue」をクリックしてください。
まず、本人確認書類を提出します。顔写真を撮影するので、スマホを使用しましょう。「Veryfy Idntity」の「Start varification」をタップします。
書類の発行国を選択し、3種類の書類の中から提出する一つを選んでタップしてください。
項目 | 内容 |
---|---|
①Choose your document issuing country | Japanを選択 |
②Select document type for verification | パスポート/国民ID/運転免許証から提出書類を選択 |
本人確認書類が承認されると、居住地確認書類の提出が可能になります。「Upload you Documents」をクリックして書類をアップロードすれば完了です。
本人確認と居住地確認が完了すると、30ドル分の口座開設ボーナスを受け取れます(請求期限は30日以内)。トレードの証拠金としてそのまま使用できるので、自己資金を入金することなくFXを始められます。
Exness FX口座開設の手順
本取引口座の開設に必要なメールアドレスとパスワードを入力し、「続行」をクリックします。
項目 | 内容 |
---|---|
①居住国/地域 | 移住先を選択 |
②メールアドレス | Eメールを入力 |
③パスワード | パスワードを入力 |
④米国市民/居住者でないことを確認 | チェックを入れる |
登録したメールアドレス宛てにExnessからメールが届くので、「取引口座を開設する」をクリックします。
Exnessの口座開設と本人確認の手続きについては「Exnessの口座開設方法」を参考にしてください。
海外在住者によるFXの税金と確定申告
海外在住者のFXでの利益に対する税金と、その確定申告に関するポイントを確認しましょう。
海外在住者は日本での確定申告が不要
繰り返しになりますが、海外在住者は日本での確定申告が不要であり、移住先の法律に従って納税してください。
JETRO(日本貿易振興機構)では、海外在住者に役立つ各国の税制の基本情報がまとめられています。国・地域別の税制は以下の方法で調べることができます。
属地主義と属人主義の違いにおける課税関係
海外在住者のFXにおける課税関係は、居住国が「属地主義」か「属人主義」を採用しているかが大きく影響します。
属地主義とは、法律の適用範囲がその法律が施行されている国・地域に属する事案に限定される考え方です。この原則により、範囲外の事案には法律が適用されません。
属人主義とは、個人がその国籍を持つ国の法律の適用を受けるべきだという考え方です。この原則は、個人がどこに住んでいるかにかかわらず、その人の国籍に基づいて法律が適用されることを意味します。
FXの課税に関する例として、日本とアメリカを取り上げます。
日本は「属地主義」をベースにしているため、日本の居住者には日本の税法が適用されます。これにより、所得の源泉地を問わず全世界所得に対して課税されます。しかし、日本の非居住者となると、海外での所得に日本の所得税が課されることはありません。
アメリカは「属人主義」をベースにしているため、アメリカ国籍を持つ人は居住地に関係なく全世界所得に対して米国への納税義務があります。これは国籍に基づく課税であり、アメリカ国民は世界中どこに住んでいてもその所得に対して米国の税法が適用されます。
日本の居住者と非居住者の違い
海外に移住しただけで日本の非居住者になれるわけではありません。非居住者になるかどうかは、まず居住者の定義に該当するかで判断し、それに該当しない人が非居住者とされます。
国税庁では、居住者と非居住者を次のように判定しています。
国内法による取扱い
我が国の所得税法では、「居住者」とは、国内に「住所」を有し、または、現在まで引き続き1年以上「居所」を有する個人をいい、「居住者」以外の個人を「非居住者」と規定しています。
「住所」は、「個人の生活の本拠」をいい、「生活の本拠」かどうかは「客観的事実によって判定する」ことになります。
したがって、「住所」は、その人の生活の中心がどこかで判定されます。
引用:国税庁「居住者と非居住者の区分」
「居住者」の判定は、まず「住所」の有無によって判断し、住所がない場合は1年以上「居所」があるかどうかで判断します。
ここでの住所は「各人の生活の本拠をいい、生活の本拠であるかどうかは客観的事実によって判定する」とされています。「居所」は、人が多少の期間継続して居住しているが、その者の生活の本拠とまではいかない場所を指します。
以上より、「住所」は単に住んでいる場所ではなく、生活の本拠である必要があり、滞在日数などの複数の基準で判断されます。
海外における居住者の判定基準
海外での居住者の判定は国ごとに異なりますが、一定期間の滞在で居住者とみなされることが一般的です。例えば、タイでは180日以上滞在した場合、その人は居住者と見なされて所得税の納税義務が生じます。
日本と海外では判定基準が異なるため、同一人物が日本と海外の両方で居住者と見なされる可能性もあります。この点で重要なのは、移住先と日本との間に租税条約が存在するかどうかです。また、どちらの国に生活の中心があるか、常用の住居の位置や国籍などに基づいて居住国を判定します。
各国の居住者判定基準は単純ではなく、国際税務においては正確な情報が不可欠です。特に税務上の問題を避けるためにも、専門家に相談するようにしましょう。
日本非居住者の納税は移住先の税制に従う
日本の非居住者は、日本国内で得たFXの利益に対してのみ日本の税制に基づいて税金を支払う必要がありますが、居住国での納税により二重課税は通常回避されます。
海外の移住先で発生したFXの利益については、その国の税制に従って納税することになります。これは、非居住者が日本国外での活動から得た収入には、日本の税制が適用されないためです。
また、国際的な租税条約により二重課税の防止が図られるため、日本の非居住者は移住先の税制も理解し、適切な納税計画を立てることが重要です。
日本人が移住先として選ぶ税金が安い国々
以前からシンガポールとマレーシアは、FXトレーダーの移住先として注目されています。各国ともFXの利益が非課税になることに加えて、国際的なビジネスハブとしての役割を果たしています。
英語が広く通用する多民族国家であり宗教にも寛容的であるため、海外からの移住者にとって生活しやすい環境です。治安の良さや高品質な生活インフラも、2ヵ国が人気の理由となっています。
近年、ドバイの注目度が高まっています。FXの利益だけでなく、仮想通貨でも非課税となるため、特に仮想通貨で稼いだSNSインフルエンサーが移住先として選んでいることが影響しているようです。
その他、タイでは居住者の所得税の最大税率は35%ですが、オフショア法人を活用することで非課税にできます。また、フィリピンでは居住者であっても外国籍であれば国外源泉所得が非課税となるため、国外サービスを利用するFXトレーダーにとって魅力的な移住先となっています。
海外在住者がFXを始める際によくある質問
海外在住者がFXを始める際によくある質問を紹介します。
- 海外在住者がFXを始めるには?
-
海外在住者がFXを始めるには、居住国で口座開設ができるFX業者を利用するのが一般的です。例えば、XM Globalでは口座開設ページの案内に従って口座を開設し、トレード資金として使えるボーナスを受け取ることができます。その後、取引ツールのMT4/MT5を準備することでFXを始められます。
- FXは国内と海外ではどちらがいい?
-
FXでは、国内と海外の業者によってメリットが異なります。例えば、国内FX業者では、日本語で丁寧なサポートを受けられ、日本の法律で保護されます。一方の海外FX業者では、日本の法律で禁止されているハイレバレッジ・ゼロカット・高額ボーナスを利用できるというメリットがあります。
- 日本の非居住者でも国内FXはできる?
-
日本の非居住者は、多くの日本のFX業者で口座開設ができません。また、転勤や留学により海外への移住が決定した際には、口座解約するように案内されています。
- 海外赴任や海外駐在の場合に日本のFX業者を利用できる?
-
海外赴任や海外駐在の場合、多くの日本のFX業者を利用できなくなります。例えば、SBI FXトレード・GMOクリック証券・DMM.com証券では、口座解約を案内しています。
- 海外在住者(日本の非居住者)は確定申告する必要はある?
-
海外在住者が日本国内で利益を得た場合、日本で確定申告が必要です。日本は非居住者の国内所得のみを課税しますが、租税条約により二重課税を回避できます。海外在住者の海外所得には日本の税法は適用されないので、居住国で納税してください。
- 海外旅行中にFXで得た利益の税金はどうなる?
-
日本の居住者が海外旅行中にFXで得た利益の税金は、日本で納税する必要があります。日本の税法は居住者の海外所得に対しても課税するためです。どこで収益を得たかに関わらず、日本の居住者は海外での取引から生じた利益も含め、すべての所得を確定申告する必要があります。
- 海外在住者はVPNで日本のFX業者を利用し続けられる?
-
海外在住者がVPNを使用して日本のFX業者を利用することは技術的に可能ですが、いくつかのリスクが考えられます。例えば、税務上の問題として税務申告が複雑になる可能性があります。特にFXの利益がどの国で発生したのかを明確にする必要があり、日本と居住国との間で税務問題が発生する懸念があります。
- 海外在住者はSBI FXトレードで口座開設できる?
-
いいえ、海外在住者はSBI FXトレードで口座開設できません。代わりに、XM Globalなどの国際的なFX業者が提供するオンライン取引プラットフォームが利用されています。
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