適切な資格なしでFXの運用代行を行う行為は違法です。
なぜなら、日本居住者を対象として直接お金を預かって運用をする行為とその勧誘には「投資顧問業・投資助言」の登録が必要だからです。
一方で、個人が海外FX業者などが提供する「コピートレード」という仕組みを使って、擬似的に資金を運用代行してもらえるサービスもあります。
本記事では、FXの運用代行が違法となるパターンと、海外FXのサービスを使った運用代行についてまとめました。
- FXの運用代行は、無登録での日本居住者向けの勧誘と営業が違法
- 日本居住者向けのFX運用代行には「投資顧問業(投資助言・投資運用)」の登録が必要
- 運用代行は自分で資金が管理できる「コピートレード」がおすすめ
- SNSを通じて勧誘する運用代行の詐欺業者に関するトラブルが多い
- 運用代行を使うなら金融ライセンスのあるFX業者のコピートレードが安心
FXの運用代行は違法?
個人が行っているFXの運用代行は「違法」となるケースが多いです。
ここでは、FXの運用代行が違法となるケースと理由についてポイントを解説していきます。
日本では「投資顧問業」の資格が必要
まず、日本でFXの運用代行をする場合には「投資顧問業」という資格が必要になります。
投資顧問業とは、投資運用業・投資助言業・投資代理業の総称です。
具体的に、FXの運用代行は、投資運用業の「投資一任業務」に該当します。
投資者と投資運用業者が投資一任契約を締結して、投資運用業者が金融商品の価値等の分析に基づく投資判断に基づいて投資者の財産を有価証券等に対する投資により運用する業務です。
投資一任契約による運用は、年金基金やラップ口座、不動産の私募ファンド等の運用において広く利用されています。
FXの運用代行を日本で行うには、金融商品取引法に基づき、投資顧問業の登録を内閣総理大臣から受けなくてはなりません。
日本居住者向けのサービスで無資格は違法
FXの運用代行で投資顧問業の登録が必要となるのは「日本居住者向けに営業・勧誘する場合」です。
そのため、下記のようなパターンがFXの運用代行で違法となります。
- 日本居住者向けのFXの運用代行サービスを提供している
- 日本居住者に対してSNSなどを通じてFXの運用代行の勧誘を行っている
- FXの運用代行業者を日本で展開していながら投資顧問業に無登録
これらのFXの運用代行の提供は違法行為です。
無登録営業は、個人の場合でも5年以下の懲役、500万円以下の罰金が科せられます。
特に、近年ではSNSを通じてFXの運用代行を勧誘する詐欺業者が横行しているため十分に注意しましょう。
海外のFX業者で運用代行ができるもの
海外のFX業者であれば、下記のサービスを利用することで投資顧問業の登録なく、FXの運用代行の提供・利用ができる場合があります。
これらの運用代行サービスを活用することで、個人でも少額からプロトレーダーに運用を任せることができます。また、実力のある個人トレーダーもプロトレーダーとして経験と収益を得ることが可能です。
日本居住者向けにサービスの勧誘・営業を行っている場合、海外のFX業者が提供するサービスでも違法となります。
コピートレード(ソーシャルトレード)
コピートレード(ソーシャルトレード)は、SNSのようにプロトレーダーの取引をフォローすることで、自動的にプロの取引を再現できるサービスです。

コピートレードは、プロトレーダーがシグナルプロバイダーとなって自らの取引を配信します。
個人投資家は、シグナルプロバイダーをフォローすることで、プロトレーダーの取引をリアルタイムでコピーすることが可能です。
これらのコピートレードで利益が発生したら、その一部をプロトレーダーへ報酬として支払います。
MAM・PAMM
MAM・PAMMは、コピートレードが誕生する前に海外FXで主流だった運用代行サービスです。
いずれも、プロトレーダーへ自己資金を預けて運用して貰う形となります。

利益の一部をプロトレーダーへ報酬として支払う形となるのはコピートレードと同じです。
しかし、MAM・PAMMでは、資金がプロトレーダーが管理する形になること、基本的にはプロトレーダー側から勧誘がなければ参加する機会がないといったコピートレードとの違いがあります。
FXの運用代行に関するトラブル例
FXの運用代行に関するトラブルは、後を絶ちません。
ここでは、FXの運用代行に関する実際に合ったトラブルの例をご紹介します。
退職金の運用を学ぶためにSNS上の投資グループに参加し、FX取引をしたが出金できない
老後に備えて退職金を運用する勉強をするため、SNSの広告で見た投資セミナーのLINEグループに登録した。そこで、実際に資産運用に成功したという事例を聞き、投資セミナーの運営事業者に勧められてFX取引を始めた。FX取引アプリが無料で提供され、取引を進めると利益が出たので徐々に投資額を増やし、計500万円を毎回異なる個人名口座に振り込んでいた。その後、500万円の出金を求めたところ、「出金には税金として160万円が必要」と言われ振り込んだ。しかし、「間違った口座に入金された」と言われ、再度別の口座に160万円を請求され、指示通りに振り込んだ。しかし500万円は出金されなかった。騙されたと思うが、どうしたらいいか。
(2023年9月受付 60歳代 男性)
引用:独立行政法人国民生活センター「SNS上の投資グループで勧誘される詐欺的なFX取引トラブル-その仲間、信じて大丈夫?-」
このように表向きには、真っ当にみえる投資セミナーや人数の多いコミュニティであっても詐欺業者であるリスクは極めて高いです。
重要なのは、自己資金を第三者が管理する口座へ入金しない、FX運用代行をするトレーダー側からの勧誘には応じないことになります。
また、同じ運用代行でも、コピートレードのように自由に入出金や取引の操作が自分で行えるサービスを選びましょう。
FXの運用代行に関する注意点
ここでは、FXの運用代行に関する注意点として下記の4つをまとめて解説していきます。
FXの運用代行で稼ぐなら、これらの注意点は最低限しっかりと押さえておきましょう。
日本向けは投資助言業・投資顧問業の登録が必要
日本向けのFX運用代行は、投資助言業・投資顧問業の登録が必要になります。
仮に、取引は自分が行うとしても、取引の指示をするトレーダーは投資助言業の登録が必要です。
無登録で日本居住者向けにFXの運用代行を行っている詐欺業者は絶対に利用は避けましょう。
SNSで勧誘された場合は避けるべき
FXの運用代行に関して、LINEやX(旧Twitter)、InstagramなどのSNSを通じて「資金を預ければ自動で増やします」「完全放置で利益が出ます」といった勧誘を受けた場合は、高い確率で違法な無登録業者によるものです。
過去にはこのようなスキームでトラブルや資金持ち逃げが多数発生しています。
個人間のやりとりであっても「業として行えば違法」とされるため、少しでも怪しいと感じたら関わらないことが鉄則です。
PAMMは違法となる可能性が高い
PAMM(パーセンテージ・アロケーション・マネジメント・モジュール)は、投資家が自らの資金を運用者の管理口座に預け、トレーダーがまとめて一括運用する仕組みです。
海外FX業者では広く提供されていますが、日本国内の法律では「第三者の資金を預かって運用する行為」に該当し、投資運用業の登録がない状態で行えば金融商品取引法違反となる可能性が極めて高いです。
金融ライセンスのあるブローカーを利用する
FXの運用代行を避けて、自分で口座が管理できるコピートレードの利用はトラブル回避のために有効です。
ただし、コピートレードであっても、その提供元は金融ライセンスのある海外FX業者を選びましょう。
金融ライセンスを取得していれば、他国の金融当局からの規制を順守し、健全な運営がされていることが分かります。
FXの運用代行に関するよくある質問
- FXの運用代行は違法ですか?
-
はい、条件によっては違法となります。
日本で他人の資金を運用して報酬を得るには「投資助言・代理業」や「投資運用業」の登録が必要です。無登録でFXの運用代行業を営むのは違法行為であり、個人でも懲役5年以下、法人は5億円以下の罰金があります。 - SNSでFXの運用代行を勧誘されましたが、信用していいですか?
-
いいえ、基本的には信用せず、利用しないようにしましょう。LINEやX(旧Twitter)などを使った運用代行の勧誘は、無登録業者による違法行為の可能性が高いです。詐欺や資金持ち逃げのトラブルが後を絶たないため、安易に資金を預けないようにしましょう。
- PAMMやMAMのような代行サービスを使っても良いですか?
-
日本居住者がPAMMやMAMを利用する行為は、違法となるリスクが高いことを理解し、自己判断・自己責任で利用しましょう。PAMMやMAMは、第三者に資金を預ける仕組みとなるため、日本の法律上は投資運用業の登録が必要となるケースがほとんどです。海外の業者であっても、無登録で日本居住者を勧誘する行為は違法となります。
- コピートレードなら合法ですか?
-
はい、自己資金を使って取引を行う場合は原則として合法です。利用者側も自己判断でコピートレードを利用し、資金が自己管理できることが前提となります。ただし、日本居住者向けに勧誘や助言を行うのは違法です。
- 安全なFXの運用代行・自動売買を使いたい場合はどうすれば?
-
金融ライセンスを持つ海外FX業者が提供するコピートレードや自動売買サービスを利用しましょう。例えば、コピートレードならXMTradingやVantage Trading、自動売買ならTitanFXといったブローカーが公式でサービスを提供しています。
- コピートレードを提供している海外FX業者は?
-
コピートレードを提供している金融ライセンス取得済みの海外FX業者は下記の通りです。
- XMTrading
- Vantage Trading
- Exness
- TitanFX
- BigBoss
- HFM
コメント